実務翻訳について その1

実務翻訳の専門分野

 実務翻訳は翻訳のいちジャンルですが、その実務翻訳の中でも、さらに分野が細かく分かれています。IT、電気、電子、半導体、バイオ、環境・エネルギー、医薬、金融、法律、経営、特許など、あらゆる産業分野の翻訳がありますが、中でも需要の多い分野は、IT、医薬、金融、特許です。

 翻訳には、それぞれの分野の専門知識が必要になります。そのため、ひとりの実務翻訳家がすべての分野を手がけることはなく、それぞれ自分の得意分野だけに専念します。実務翻訳家を目指す人は、自分の専門分野を選ぶ必要があります。

実務翻訳家の需要と報酬

 翻訳業界の動向については、多くの実務翻訳を特集したムックで、毎年、繰り返し紹介されています。翻訳会社へのアンケートなどで、需要の多い分野や、翻訳家への報酬など、業界の今が浮き彫りにされています。

  わたしも動向を知っておこうと、特集が気に入ったものを選び、毎年一冊は買います。その中で、毎年毎年、同じように繰り返されている言葉は、「優秀な人材は常に人手不足だ」ということと、「腕の良い翻訳家は、高額な報酬が期待できる」ということです。

  つまり、新しい人材への門戸は広く開かれていて、また職業として大変有望であるということです。

 これはわたしの体感としても、事実のように感じられます。

  数年前、医薬品会社の社内翻訳家をしていたとき、翻訳家を目指して勉強中だという女性に出会いました。彼女はその後見事に夢を実現させ、現在、駆け出しの翻訳家として活動しています。彼女ような例は、少なくありません。

  報酬としてはまだ決して高くはなく、仕事量も安定していないそうですが、それでも前向きにがんばっています。

 一方でベテランの先輩がたは、実際、高額を稼いでおられます。大手企業を定年前に退社して翻訳家になったある特許翻訳家の方は、月によっては、会社員時代の収入を超えるとのことです。会社では役職についておられた方ですから、それを超える収入というのは、想像するだに恐ろしい額です。

報酬が高い分野は?

 翻訳の分野ごとの報酬の違いとしては、医薬や特許が高いといわれています。仕事の量に比べて翻訳家が少なく、また、高度に専門的な知識が求められるものほど高くなる、ということのようです。

 英語教材を数多く出版しているアルクやイカロス出版から、翻訳関連のムックがいろいろと出ており、一冊読めば翻訳業界の現状を理解できます。インターネットでも情報を得られますが、どうしても断片的になりがちなので、総合的に理解するにはやはり紙媒体を手にとられるといいと思います。

 うちの近所の図書館には最新のものではないものの何冊か置いてありましたから、まずはお近くの図書館に足を運ばれるのもいいかもしれません。

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