学校選びの重要ポイント
実務翻訳の場合、学校選びの重要なポイントはずばり、仕事に結びつくかどうかです。
学校選びのチェックポイント
学校選びの際には、
- プロになる道筋がしっかり示されているかどうか、
- そこまでのサポート体制が整っているかどうか
をチェックしてください。求人の数、トライアル受験をサポートする体制の有無、卒業生の活躍ぶり、事務局のサポート体制など、しっかり確認しましょう。
そこを重点的にチェックすれば、授業カリキュラムや先生を含む、総合的なその学校の良し悪しもおのずと見えてくるはずです。学校への求人数やトライアルの合格率は、そのままその学校の人材を育成する力ですから。
授業料は決して安くありませんから、入学してから後悔しないよう、事前に十分リサーチしましょう。口コミやネットで情報収集を行うほか、通学の場合、多くの学校がコース開講前に体験レッスンを開催しています。できれば実際に足を運んで、自分の目や耳で確かめてみてください。
わたしは通信・通学をあわせて、なんと5校の翻訳コースにお世話になりました。
通信がバベル、DHC、フェロー・アカデミーの3校で、通学がコングレ・インスティテュートとILC語学センターの2校。どの学校でも貴重な学びや出会いがあり、それぞれに感謝していますが、ここでは、特に仕事に直結し、今でもお世話になっている2校を紹介します。
フェロー・アカデミー
フェロー・アカデミーは東京に拠点を置く、翻訳の専門校です。通信と通学の両方がありますが、関西在住のわたしは、通信でお世話になりました。
実務翻訳だけでなく、文芸翻訳、映像翻訳のコースもとても充実しています。実はわたしは、こちらで実務系のコースをとったことはなく、残念ながら受講の感想をお伝えすることはできません。
受講したことがあるのは、アメリカの新聞を教材にした「メディア翻訳」という講座と、映像翻訳の入門の講座。どちらもまだ自分の適性を探っていた修行時代に受講したものです。どちらも添削は丁寧で、ケアも手厚かったです。
メディア翻訳の頃は、ともかく翻訳を始めたばかりでわからないことだらけだったのですが、添削で質問に丁寧に答えてくださったのが今も印象に残っています。文の解釈や日本語の表現について、改善すべき点を明確に示しながらも上手に褒めてくださるおかげで、最後までモチベーションを落とすことがありませんでした。
映像翻訳は、確か半年ほどの短いコースでしたが、定められた文字数に合わせて日本語を練るという映像翻訳特有の作業が、わたしにはあまりにも向いておらず、最後までやり通すことができませんでした。脱落が決定的になった後でも、「コースの規定の期間が過ぎても課題の提出はできるから最後までがんばってほしい」という意味の励ましの文書をいただいたことを覚えています。
翻訳家の会員制ネットワーク「アメリア」
そして、今もわたしが大変お世話になっているのが、会員制のネットワーク「アメリア」です。運営するのは、フェロー・アカデミーの運営元と同じ、株式会社アメリア・ネットワーク。
大変充実したネットワークで、さまざまな分野の会社と提携・協力関係を持ち、翻訳家やその卵と仕事とを結びつけています。入会すると、トライアルや求人情報など、仕事につながるチャンスを豊富に提供してくれます(入会には入会金と年会費が必要。フェロー・アカデミーでの受講経験は問われません)。
わたしは修行時代に入会したあと一度退会し、在宅フリーランスになってから再度入会しました。そして求人情報を利用して、医薬翻訳家募集の求人を出している翻訳会社を探し、新たにご縁を結ぶことができました。
ここでは求人情報ばかり取り上げましたが、求人情報はアメリアが提供している、多彩な会員サービスのひとつに過ぎません。ほかにも、勉強に役立つ情報やコンテストなどが豊富で、楽しく学び、力試しをできる企画が数多くあります。
そのため、翻訳入門者からあと一歩でプロという人、そしてばりばり活躍している翻訳家まで、翻訳にたずさわるすべての人のニーズを満たす、懐の深いネットワークになっています。
ILC国際語学センター
実務翻訳コースのほかに、英会話や資格取得のクラスもある語学学校です。東京校、大阪校のほか、2007年には神戸校もオープンしました。
わたしは大阪校のメディカルコースに通学しました。そしてコース終了とともに学校に来た求人に申し込み、採用されたことで、プロへの一歩を踏み出しました。
大阪校の実務翻訳のコースには、メディカルのほか、特許、ITなどの分野があります。いずれも初級と上級各半年ずつ、通して1年のコースです。専門分野に入る前の準備科や基礎クラスもあります。
ILCは翻訳会社や企業とのパイプが太く、求人が豊富です。受講生は、各専門科の上級コースが終了すると、学校が提携している翻訳会社のトライアルを受けることができます。また、オンサイトの求人では、翻訳家の募集のほか、翻訳以外の英語を使う仕事の案件も数多く見られます。
わたしは関西在住で実務翻訳家を目指すかたにはよくこのILCをお勧めするのですが、それは地元関西のオンサイトの求人が多いためです。アメリアのオンサイトの求人は、学校の場所柄、どうしても首都圏が中心です。その点、ILC大阪校の求人は地元密着で、関西人にとっては心強いばかりなのです。