翻訳に必要なスキル

 翻訳と一口にいいますが、実はさまざまなスキルの組み合わせです。

 そのスキルとは、語学力、専門知識、調査力、翻訳力です。

 どれが欠けても、よい翻訳はできません。翻訳の作業中は、これら四つのスキルを駆使して、ひとつの訳文を作り上げています。翻訳を上達させるためには、この四つをそれぞれ磨いていく必要があります。

語学力

 まず、語学力。実務翻訳で一番大切なことは、原文の意味を正しく端的に伝えることです。そのためには、和訳であれば英文を読み解くための、英訳なら英文を書くための、確かな英語力が要ります。

専門知識と調査力

 次に、専門知識と調査力です。実務翻訳には、その分野の専門知識が不可欠です。たとえばadministrationという英単語があります。すぐに「政治」、「執行部」、「行政」など、単語の意味を挙げられる方も多いでしょう。しかし、医薬翻訳の場合は、「投与」と訳します。それ以外の訳は、医薬では間違いなのです。医薬の専門知識がなければ、即座にはそう訳せません。

  しかし、どんなに専門知識を持っていても、翻訳をしていると、知らないことは必ず出てきます。そこで必要なのが調査力です。従来の辞書を使った調べ物のほか、昨今は、インターネットで検索することによって、瞬時に情報が手に入るようになりました。

 調べ方次第で、早く正確に目的の情報を手に入れることができるようになり、知識不足もかなりカバーできるようになりました。実務翻訳において、調査力を高めることは、ますます重要になってきているのです。

翻訳力

 最後に、翻訳力です。いくら原文を正確に読み取ることができても、置き換える先の言語でそれを表現できないのでは、それまでの努力もすべて水の泡になってしまいます。日本語から英語に、または英語から日本語に、原文に忠実でありながら、自然で読みやすい文章に訳すには、翻訳のスキルを磨く必要があります。

 翻訳家を目指す人は、バックグラウンドやキャリアによって、それぞれ得意な技能と苦手な技能があります。

  たとえば、英文科出身の人は語学力が高い反面、専門知識が不足している場合が多いでしょう。一方で、技術畑を歩いてきた人は、専門知識は十分な反面、語学力が不足しているかもしれません。

 また、海外生活何十年という人は、語学力が高い分、翻訳力を伸ばし、場合によっては国語力も補う必要があるかもしれません。

  まずは、現時点での自分の実力を把握し、足りないところを重点的に伸ばしていく必要があります。
それぞれの力をつけるためにどうすればよいか、詳しくみていきます。

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